| 講演要旨
釈迦牟尼仏陀(釈尊)の没後、数百年間インド人仏教徒は釈尊の肖像・礼拝像
たる仏像を製作することはなかった。その理由・原因を、仏教独特の「布施」か
ら解明する。布施は現世利益(世間)と来世利益(出世間)を目指す。現世利益
(例:子宝)は布施に応じてヤクシャなどの樹精、神々や天部が授与する。一
方、来世利益は釈尊(仏塔=舎利の中に現存)に関係する天界往生、到彼岸(涅
槃)である。ただし、それを確約するのは導師たる釈尊ではなく布施そのもので
ある。つまり、来世利益に相応しい布施があれば、救済者ではない釈尊もその礼
拝像も不要となる。仏像創始はこのような布施観が変化したクシャン朝時代まで
待たねばならなかった。
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