第4回三笠宮オリエント学術賞授賞について

第4回三笠宮オリエント学術賞授賞について

会長 近藤 二郎

日本オリエント学会では、本学会の創立者のおひとりで、日本におけるオリエント研究の推進者であられる三笠宮崇仁殿下の名を冠した「三笠宮オリエント学術賞」を設け、日本におけるオリエント研究の発展に大きな学術的貢献をなすと判断される業績を顕彰し、もって研究者の育成に資することとしています。

厳正なる審査の結果、下記会員に第4回三笠宮オリエント学術賞を授賞することを決定いたしましたので、ご報告申し上げます。

受賞者 加賀谷 寛
(大阪外国語大学名誉教授)
受賞業績 『加賀谷寛著作集』全三巻(1 南アジアとイスラーム、2 南アジアの政治と文化、3 近現代イランの社会と思想)京都大学イスラーム地域研究センター 2013-2015
選考経過  当学会では、学会ウェブサイト、学会メーリングリストその他を通じて、2016年11月15日より被推薦者の募集を行った。その結果、募集締切りの2017年1月13日までに、3件の業績が推薦された。
 理事会が選任した選考委員会は、各業績の内容とその推薦理由を子細に検討したうえで、被推薦者の専門領域に通じた選考委員の評価をもとに、全委員で意見交換を行い、加賀谷寛氏を第4回三笠宮オリエント学術賞の授賞候補者として理事会に推薦することとした。
 理事会は、2017年3月21日に開催された第550回会合において、選考委員会からの推挙を全会一致で承認し、加賀谷寛氏に第4回三笠宮オリエント学術賞を授与することを決定した。
授賞理由  加賀谷寛氏は西アジア、南アジアのイスラーム文化圏の地域研究に長年従事し、多くの研究を発表してきた。インド、パキスタンなどの南アジアの地域についての研究が多いが、西アジアのイランについての研究も多く、宗教、政治、文化に渉って論じている。イスラームについてもスンナ派イスラームだけではなく、シーア派イスラームについても早くから関心をもち、紹介をしている。とくに地域に根ざしたイスラームの諸相をウルドゥー語やペルシア語の文献をつかって議論をしており、イランやパキスタンなどの庶民信仰の次元にまで探究を拡げている。これらの研究と並行して行われた『ウルドゥー語辞典』(大学書林、2005年)の編纂も、本邦初の労作であり、大きな学術的貢献といえる。
 また、すでに研究の進んでいた古典期(12世紀ころまで)と近現代(18世紀以降)のみならず、その間の時代のイスラーム思想の重要性を説いた点でも、近年の研究動向を先取りした研究である。近年はイスラーム文化圏のさまざまな地域についての人類学的な研究も増えているが、それらの研究に先んじたその先駆性は大いに評価できるだろう。
 この著作集は、比較的容易に閲覧できる翻訳書や単行本ではなく、雑誌などに発表された小論をも含む著作群を網羅したものであり、本書によって加賀谷寛氏の業績を一覧することが可能となった。
授賞式 日時: 平成29年5月27日(土)午後1時より
会場: 東京都千代田区神田錦町一丁目9番地  東京天理ビル9階 天理ホール
授賞式後、受賞者による公開講演「イスラム研究の意義」ならびに山根聡氏(大阪大学教授)による公開講演「南アジア・イスラーム研究の動向と将来―『加賀谷寛著作集』を通して」があります。

参考: 日本オリエント学会三笠宮オリエント学術賞内規

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