会長挨拶

会長挨拶

会長就任に際して

この度、一般社団法人日本オリエント学会の会長に就任いたしました。本学会は、初代会長でもあられる三笠宮崇仁殿下を中心に、1954(昭和29)年6月30日、東京国立文化財研究所で創立総会が開催されてから、この6月で62周年を迎えます。その間、1963(昭和38)年には社団法人となり、2013(平成25)年4月からは一般社団法人となり活動を続けております。

ご承知のように、日本オリエント学会は、人類の文明発祥の地である「オリエント地域」の歴史や文化を研究する日本を代表する学会です。「オリエント地域」とは、現在の西アジア・北アフリカを中心とする地域で、具体的には、ほぼ中央にイラク(メソポタミア)が位置し、西は北アフリカ(エジプトを含む)から、北はアナトリア(小アジア)、南はアラビア半島、東はアフガニスタンまでの非常に広範な地域が含まれており、歴史的にも先史時代からイスラームが興る紀元後7世紀以降、現在に至るまでを包含しています。このように時間的にも空間的にも広大で、民族や宗教・文化など多様で複雑な歴史を歩んできた地域であります。

現在、これらの地域は、内戦が起るなど、政治的に極めて不安定な状況にある場所も多く、シリアやイラクなどの地域では、数多くの難民が生じ、周辺地域を巻き込んだ混乱状況が継続しております。さらに、一部のイスラーム過激派集団による破壊活動などが、当該地域だけではなく全世界に暗い影を落としています。そのため、オリエント地域のいくつかの国々では、現地における調査研究が困難になっており、これらの地域の基礎的研究が停滞しているように思います。オリエント地域が不安定で混迷している今だからこそ、私たちは真摯にオリエント地域の歴史や文化に向き合い、研究を続けていく必要があると思います。

前述したように、現在のオリエント地域の政治的な混迷状況や一部イスラーム過激派集団の活動は、この地域の社会や宗教・文化に対して偏った理解を助長させているようです。今こそ私たちは、この地域の歴史・文化を研究することで、真のイスラーム理解をはじめとして、広く社会に発信・還元していかなければならないと思います。

歴史ある日本オリエント学会の活動を継承し、これまで以上の活動を実施していくために、会員諸兄姉のご協力をいただきながら、会長としての任を果たして参る所存です。また、学会の運営等に関して、会員諸兄姉からの活発なご意見・ご提案をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

2016(平成28)年6月吉日
近藤二郎

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